
フォトグラファー大野咲子の初の写真集「家族のあとさき」が、PURPLEから出版されました。 本作は、大野自身が三年間にわたる不妊治療の日々を記録したもので、 家族の多様性や変化をテーマにしています。
写真集の背景

本作は単なる不妊治療の記録に留まらず、家族という概念の多様性を問いかける作品でもあります。
自然妊娠が難しいと思った大野は、不妊治療を始めます。
治療は身体的にも精神的にも負担を伴うものでしたが、
その過程を写真に収めることが気持ちの整理になっていきました。
孤独を感じる時間のなかで、視覚感覚が変わり、身のまわりの些細なものが 生殖や血に関わるものに思えてくる体験などをしながら撮影を続け、 それが次第に一つの作品としてまとまり、写真集の制作につながっていきました。

母親からの影響
写真集の赤い布装の装丁や、ページに写真を貼り付けるスタイルは、
大野の母親が手作りしたアルバムから着想を得ています。
制作中、編集者の姫野希美さんから「プライベートなことを扱っているけれど公のもののように見える」
という意見があり、作品を再構築するきっかけになります。
大野は実家に籠って母親が作った幼少期のアルバムを参考にし、写真一枚一枚の意味を考え直しました。 実家の和室で、Wifiも繋がらない環境の中、写真を並べながら構成を練る日々を過ごすなかで、 初めて納得のいく作品になったと実感します。

写真集を手にして感じること
不妊治療というテーマはタブー視されがちですが、本作はその壁を破り、 治療の過程や感じたことをリアルに映し出しています。 大野の個人的な体験をテーマにしながらも、 見る側の共感を呼び起こすような作品だと感じました。
大野は「この写真集を通して、自分や家族、
そして私たちが選び得る未来について考える機会になれば」と語ります 。
本作は、家族の多様性や変わりゆく姿を映し出す一冊であり、
視覚を通して自身と周囲の繋がり、そして未来の可能性を探る作品です。
手にとった方がどんな風にこの作品を見て、どう思うのか、
幾通りもの感じ方があると想像しています。

写真展の開催
写真展「ここだけの話はこれでおしまい展」が、2024年5月29日から6月10日まで開催されます。 本展は、不妊治療というテーマを自然に語り、共有するための試みです。 治療中のセルフポートレート、家の中の光景、外で働く自分、そして視覚体験に基づくスナップなど、 多様な視点でセレクトされた43点の作品群は、特別に作られたフレームに額装され、 作者の視覚体験を追体験できるよう構成されています。
写真展概要
会期:2024年5月29日(水)~6月10日(月)
時間:12:00-21:00
場所:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10)
定休日:火曜、第1・3水曜
トークイベント
6月2日のトークイベント「体験から写真集を作り出すこと」では、本作品の編集者で赤々舎・PURPLE代表の姫野希美氏と、装丁を手掛けたグラフィックデザイナー鈴木千佳子氏のお二人を対談に迎え、不妊治療という作者個人の体験から作品を作り出すこと、その過程で見えてくる関係性についてお話を伺います。
6月9日には「写真集と自己治癒」をテーマに、心理臨床家の皆藤章さんを ゲストに迎えます。作品の制作過程から大野と対話を重ねる中で、作品制作を「自己治癒」と捉える皆藤先生の視点について語っていただきます。
イベント概要
2024年6月2日(日)10:30~12:00「体験から写真集を作り出すこと」予約:https://peatix.com/event/3958594/view
2024年6月9日(日)10:30~12:00「写真集と自己治癒」予約:https://peatix.com/event/3958632/view
場所:twililight(東京都世田谷区太子堂4-28-10)
ゲスト:姫野希美氏(赤々舎・PURPLE代表)、鈴木千佳子氏(グラフィックデザイナー)、皆藤章(心理臨床家)
31 Jul 2026
フォトグラファー大野咲子 個展「Parallel Self-Portraits」
キヤノンギャラリー銀座(2026年8月18日~)キヤノンギャラリー大阪(2026年10月6日~)にて、個展「Parallel Self-Portraits」を開催します。
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31 May 2024





